アランフエス王宮



カルロス5世がスペイン国王の時にタホ川に橋を渡し、アランフエスの原野に王家の離宮を作る案が持ち上がりました。その後息子フェリペ2世が引き継いで王家の春と秋の別荘として1561年に着工し、フェルナンド6世の時代に完成しました。その後、18世紀の後半のカルロス3世の時代に南北の両翼が増設され現在の形となった王宮です。途中、火事などに見舞われ何度も修復し、完成までには約200年の年月がかかったといわれています。

エスコリアル宮殿を手掛けた建築士たちが、当時の技術を集結して造り、イザベル様式(スペイン後期のゴシック)とルネサンス様式が調和した美しい建物となっています。当時スペインではヨーロッパスタイルの華やかな宮廷文化が流行していました。贅を尽くして造られた27部屋の中でも磁器の間とアラブの間、玉座の間は必見。

スペイン出身の作曲家ホアキン・ロドリーゴは宮殿の優雅な美しさに発想を得て「アランフエス協奏曲」を作曲しています。

アランフエス王宮の外観

アランフエス王宮|アランフエスの文化的景観 (2)石とレンガで作られている王宮は典型的なスペイン建築で、広大な庭園に向かって立つサファードには両側に円蓋があります。正面玄関はイタリアのジャコモ・ボナヴィアが18世紀に建築したものです。入口には重厚な木の扉があり、見事な彫刻が印象的です。回廊の天井はかつてレンガ造りでしたが現在は白く塗ってあります。外観は内部に比べてすっきりとした印象です。

アランフエス王宮の内部

内部は撮影禁止でガイドツアーのみ入ることができます。

磁器の間

磁器の間は館内の中でも特に美しいといわれ、草花模様に東洋の人物や動物、植物が白い磁器で四方の壁から天井まで飾られています。中国風に作られていますが、中国にはないものもあり、少し滑稽に感じます。この珍しい装飾は、カルロス3世によってナポリから呼ばれたデザイナーのグリッチ、エンジニアであるシェペルスらによって造られています。ここで使われている磁器は18世紀にマドリッドのブエン・レティーロ磁器工場で作られたもの。また、当時のままの大理石の床はオリジナルで色使いが美しく壮麗で、オリジナリティーに溢れた部屋です。ローソク付きシャンデリアも必見です。

アラブの間(喫煙の間)

アランフエス王宮にはとても興味深い部屋があります。館内はほぼヨーロッパ風なのですが、ここだけはアラビア風の雰囲気で造られています。アラブの影響を受けたグラナダのアルハンブラ宮殿の「二姉妹の間」の一室を模して造られており、部屋の天井も低めで、壁に沿って長椅子が造られています。壁や装飾も色鮮やかでいかにもアラビア風といった雰囲気を感じます。天井一面に施された繊細なアラベスク模様や鍾乳石の飾りは見応えがあります。空気孔があることから「煙突の間」とも呼ばれています。アルハンブラ宮殿は完全に色が抜け落ちていますが、こちらは艶やかな色が残っているのも見どころのひとつです。

玉座の間

赤いビロード張りの壁とロココ調の家具やタペストリーが配され中央には王座があり、大変豪華な雰囲気に包まれた部屋です。大きなシャンデリアの輝きも魅力的で、天井画など限りなく贅を尽くして作られている部屋です。

エントランス

白く荘厳な雰囲気の大階段は吹き抜けで開放感があります。階段は二つに分けられ、左右の傾斜が異なっています。緩やかな階段は、かつて女性専用として使われていました。中央にある大きなシャンデリアと彫刻や絵画が所々に配され、鉄製の手すりの装飾も優雅さを表しています。

その他の部屋

他にも美しい部屋を見ることができ、ナポレオン3世の皇后からイザベル女王に贈られた金箔が貼られたピアノが置いてある白を基調とした美しい音楽の間など、豪華絢爛な部屋を見ると、スペイン黄金時代の繁栄ぶりを感じることができます。

1階の部屋は仕える人々の部屋となっていました。ここには王宮にまつわるお宝が展示されており、扇子の部屋やゆりかごなど子供たちの遊具も展示されています。歴代王の衣装やウエディングドレス、かつて使っていた道具や絵画などの展示は圧巻です。他にもいろいろ魅力的な展示がされ興味深い博物館となっています。

まとめ

ファサード前の「パルテレ庭園」、花壇が美しい「島の庭園」、広大な「王子の庭園」、緑豊かな3つの庭園もアランフエス王宮を美しく引き立てています。小さな宮殿とはいえ贅沢な調度品や美しく彩られた数々の部屋、ポプラの深い緑に包まれた庭園を眺めていると、かつての貴族たちが船遊びなどを楽しみ優雅に過ごしていた光景が思い起こされるようです。

スペインの世界遺産 アランフエスの文化的景観

 

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