ヴェルサイユ庭園
(ヴェルサイユの宮殿と庭園)
ヴェルサイユ庭園は、ヴェルサイユ宮殿に併設した広大な庭園です。泉水や木立、花壇、彫刻など、多くの見どころがあります。
「ヴェルサイユの宮殿と庭園」として世界遺産に登録されています。
ヴェルサイユ庭園の成り立ち
ヴェルサイユの庭園は、造園家アンドレ・ル・ノートルの設計の元、ルイ14世の統治下でヴェルサイユ宮殿と同時期に建設されました。宮廷画家でヴェルサイユ宮殿の内装も手掛けたル・ブランも彫刻や噴水の図案に携わりました。
ルイ14世は、庭園は宮殿と同じくらい重要と考えていました。そのため、多くの人員を動員し、森林や牧草地、沼地を切り開き、大量の土を運ばせました。木材はフランス全土から集めたそうです。建設には40年もかかったそうです。
庭園で最も有名なのは噴水庭園ですが、ここに王の3つの意図が表れているといわれています。
- セーヌ川に揚水装置を設置し、水道橋によって、水のないヴェルサイユまで水を引くことに成功しました。これにより、自然をも変え従わせる力を自身が持っていることを証明したのです。
- ヴェルサイユ宮殿には貴族を強制移住させました。それによって王の絶対的な権力を示し、貴族を従わせたのです。
- 一方、民衆がヴェルサイユに入ることを許し、彼らの心をつかんだのです。
まさに、絶対王政の確立といえますね。
ヴェルサイユ庭園の構造
ヴェルサイユの庭園は非常に広大で、水と緑をふんだんに使用した美しい風景を随所に見ることができます。
泉水
ヴェルサイユの庭園といえばまず泉水です。数が多く、ほぼ神話に基づく名前がつけられ、それにちなんだ彫刻が設置されています。
ラトナの泉水
オヴィディウスの「変身物語」がモチーフとなった彫刻が飾られており(マルシー兄弟作)、先ほど修復が完了したばかりで、再び美しい姿を見ることができます。
アポロンの泉水
ルイ13世時代には白鳥の泉と呼ばれていましたが、ルイ14世が改修し、王の象徴である太陽神アポロンの彫刻を飾りました。
バッカスの泉水、ケレースの泉水、サトゥルヌスの泉水、フローラの泉水
バッカスの泉水が秋を意味し、夏を意味するケレースの泉水と対を成しています。また、サトゥルヌスの泉水は冬、フローラの泉水は春を意味し、対を成しています。この4つの泉水で四季を構成しています。写真はフローラの泉水です。
その他、鏡の泉水、ネプチューンの泉水、ドラゴンの泉水、ニンフの泉水、ピラミッドの泉水があります。
大水路
宮殿から見渡せる大水路の全長は1670mあります。多くの水上の祭典が行われ、夏には船を浮かべたり、冬には凍った水面でスケートをしたりもしたそうです。
水庭
2つの長方形の泉水が特徴で、この水面が宮殿の鏡の回廊のファサード(建物前方部分)を照らすようになっています。
散歩道
幾何学的・格子状に設けられた散歩道には、剪定された並木道が続いており、ところどころに彫像が飾られています。
王の散歩道
中央に緑の芝生が配されていることから、「緑の絨毯」とも呼ばれています。全長は335m、幅は40mあります。12の彫像と壺を対にして配置しています。
このほか、水の散歩道や、泉水と同じ名が用いられ対応したフローラとケレースの散歩道、バッカスとサトゥルヌスの散歩道があります。
オランジュリー
温室の役割をしており、オレンジやレモン、ザクロの木が植えられています。夏は屋外に出し、冬は屋内に入れるようになっています。
3haの花壇には芝生が植えられ、円形の池があります。17世紀には季節の色とりどりの花々が植えられていました。
木立ち
様々な工夫を凝らした木立ちには、泉水や散歩道、彫刻が一体となって配置されています。
ロカイユの木立ち(舞踏場)
アフリカ、マダガスカルの海岸から持ち帰ったという貝殻を敷き詰め、その間に水を流して滝のようにしています。
列柱廊
ジュール・アルドゥアン=マンサールによって建造された、32本の柱を擁するイオニア式列柱廊です。中央には、「プルトンに連れ去られるプロセルピナ」の群像が配置されています。
宮殿と庭園を合わせるととてつもない広さになりますが、すべてに当時のフランスの最高の技術が用いられています。
季節限定の場合もありますが、大噴水ショーが開催されることもあるので、ぜひそのときを狙って行ってみてはいかがでしょうか。
「ヴェルサイユ庭園」のデータ
国名 | フランス |
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世界遺産名 | ヴェルサイユの宮殿と庭園 |
名称 | ヴェルサイユ庭園 |