三角西港
(明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業)
2015年世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の構成資産のひとつ、熊本県宇城市にある三角西港(みすみにしこう)は、明治の三大築港のひとつであり、その中でも当時のままの姿で現存する貴重な港です。
三角西港の建設
熊本県の国内外の貿易港として建設された三角西港は、オランダ人水理工師ローエンホルスト・ムルドルによって、曲線を多用し、水路幅、道路幅共に当時の日本の基準を大きく超えたスケールで設計されました。この設計を請け負ったのが、旧グラバー住宅などを手掛けた小山秀率いる天草の石工たちでした。切り出した石を丹念に仕上げ、当時の日本では見られない曲線を多用した加工で積み上げました。
近代的な港湾都市となった「三角西港」
1887年に完成した三角西港の全長756mの埠頭沿いには、倉庫や洋風、和風の建物が並び、ヨーロッパを思わせる街並みが広がる近代的な港湾都市となりました。米、麦、石炭などが中国へ輸出され、熊本県のみならず九州の一大集散地となりました。
三角西港の衰退
華々しく開港した三角西港でしたが、1899(明治32)年、鉄道の駅の終点が三角東港になると、三角西港には延伸されず、西港が担ってきた役割は、東港へと移っていきました。西港は衰退することとなりますが、そのおかげで西港は、開発などから免れ、ほぼ原形のままで残ることができました。
現在、三角西港周辺には、1918年に明治天皇即位50周年を記念して建てられた「龍驤館(りゅうじょうかん)」、映画のロケ地としても利用された「旧三角簡易裁判所」などが残っており、和風、洋風の建物が混在する建造物群となっています。
「三角西港」のデータ
国名 | 日本 |
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世界遺産名 | 明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業 |
名称 | 三角西港 |