カサ・ミラ
(アントニ・ガウディの作品群)
多くのブティックやレストラン、バルが立ち並ぶおしゃれなメインストリートのグラシア通りは、ゴシック様式やモデニスモ建築が並ぶ華やかな通りです。この通りには世界遺産に選ばれた2つのガウディの傑作があります。その一つが実業家のペレ・ミラとその妻ルゼー・セギモンの邸宅として1906年から1910年にかけてガウディによって建てられ、当時センセーショナルを巻き起こしたカサ・ミラです。因みにもう一つはカサ・バトリョ。
モデルニスモの建造物「カサ・ミラ」
直線を全く使わず、波打つ曲線をもつモデルニスモの建造物は、地中海やカタルーニャの雪山をテーマに造られています。当時のバルセロナ市民にとってはとても醜悪な建物で「石切り場」と呼ばれていましたが、ガウディが手掛けた個人邸宅では最後の建築で、現在も賃貸マンションには4世代が住んでいます。
建築当時、3階にはペレ・ミラ夫婦が住み、残りの住居は賃貸にしていました。1室7部屋もある高級住居には当時の一般的な給料の10倍の家賃で提供された部屋はなかなか借り手がつかず、3世代同金額で貸すとの契約を結び、今でも昔の金額のまま月1,200ユーロ(2015年8月現在、約17万円)と格安料金です。
住宅の最上階は資料や模型を展示し、ガウディ作品の博物館となっています。また屋上テラスや住宅内部の一部を見学することが可能です。
必見!カサ・ミラの屋上
外観の曲線美を見るだけで満足してしまうほど素晴らしいモデルニスモの建築物は、建物の表面にはモンセラットの石灰岩が使用され、屋上部分はアスレホと呼ばれる白い化粧タイルが使われています。
その白いタイルは山に積もる雪を表現しています。屋上には摩訶不思議な世界が広がっています。象牙や大理石、陶器で覆った煙突や通気口はまるでダリの絵画のよう。兜を被った戦士をイメージした煙突やバラのつぼみを模った巨大彫刻もあります。
鉄で作られたひとつひとつが異なるバルコニーの手すりは、植物のデザインが施され柔らかで美しい曲線を創り出しています。バルコニーの天井や壁全てが波打ちまるで海底いるようです。
内部の玄関ホールの階段、住居スペース、屋根裏の回廊、真ん中にある丸型の庭も必見。
玄関ホールの天井に描かれた淡いパステル色の模様や、階段の手すりは自然をモチーフに作られた鋳造技術の素晴らしさを目の当たりにします。
博物館、エスパイ・ガウディ
最上階の回廊はエスパイ・ガウディと呼ばれる博物館になっており、ガウディが得意とするアーチも見ることができます。
自然に天井を支える角度が計算されたレンガのアーチは特に素敵で、繊細なレンガでできたアーチ状の構造はカタルーニャに伝わるカタルーニャ・ヴォールトいう技法と伝えられています。また、インスピレーションを受けた植物や動物のモチーフも展示され見応えがあります。
ガウディが設計した他の建築物の模型なども展示され建物全体図を見ることができ、実際の建築物を見るのとまた違ったガウディの作品の魅力を感じることできます。
ブルジョワ階級の生活空間を再現
最上階からひとつ下の階には19世紀後半~20世紀初めのブルジョワ階級の生活空間を再現した居住空間を見ることができます。丸みを帯びた構造で、家具は当時の物をそのまま展示。中庭から入る自然光は通りに面していない部分にも光を届けるため、とても明るい空間が印象的です。趣のあるアンティーク家具と共に、当時の暮らしぶりを垣間見ることができます。
カサ・ミラの中庭
採光と換気のために設けられた中庭は、細部に植物や海洋生物をあしらい、常に太陽の自然光を真上から取り入れられる工夫がされています。
建物だけではありません。周辺の歩道も全てガウディ作。六角形のタイルにはガウディらしく、海の生き物が描かれています。外観はもちろん内部もガウディの天才的なセンスとパワーを感じることができます。ガウディが54歳の時に造った完成されたガウディ建築を見に訪れてみませんか?
お昼のカサ・ミラも素敵ですが、夜に美しくライトアップされたカサ・ミラも無数のタイルが青い光を放ちとても魅力的な世界が広がります。
「カサ・ミラ」のデータ
国名 | スペイン |
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世界遺産名 | アントニ・ガウディの作品群 |
名称 | カサ・ミラ |