カサ・バトリョ
アントニ・ガウディの作品群

数々のモデルニスモ建築が密集する、アシャンプラ地区のメインストリートのグラシア通り43番地に位置するカサ・バトリョ。繊維業を営むジュゼップ・バッリョ・イ・カザノバスの依頼を受け、1904年から1906年にガウディが増改築を手掛けました。

当初の依頼は1877年に建てられた邸宅を全壊後の新築する形でしたが、ガウディがバトリョ氏を説得し増改築が行われたと言われています。

カサ・バトリョ 外観

ユニークな外観が目を引くこの建物のテーマは海。外壁に埋め込まれた色とりどりのガラスモザイクは、地元の会社から譲り受けた廃棄物のガラスや陶器の破片を利用したもので、まさにエコハウス。

ガラスモザイクは陽の光をあびて輝き、まるで海面がキラキラと光っているような光景。建物のファサードが海面で、内部は海底や海底洞窟をイメージしています。ガウディ特有の曲線を随所に見ることができるデザインが外部や各部屋に配されているのが特徴。

淡い色のデザインとユニークな形のバルコニーにパワーを感じる、スペインモデルニスモ建築の代表例とされています。

カサ・バトリョは外観が大きな窓があくびをしているように見えることから「あくびの家」、バルコニーの柱が骨のように見えると「骨の家」と別名で呼ばれています。

屋上には瓦を鱗に見立てた龍の背のような屋根、煙突は煙が揺れながら昇る様子を表し、通気口などまさに芸術性と機能性を兼ね備えています。ガウディらしいデザインの斬新さだけではなく、全ての扉に開閉式の通気口を設置するなど、20世紀はじめての換気を重視した家で当時としては最先端構造の住宅でした。

また、屋上の片隅にある旧貯水子は、小さな噴水があり光と音の自然とアートを楽しめる瞑想部屋のようで魅力的です。

カサ・バトリョ 内部

内部は大広間から屋根裏まで見学でき、規模は小さいですがほぼすべて見ることができ見応えがあります。内部のタイルやステンドグラスはガウディが手掛けたもので、微妙に違うタイルの色使いや配置、海をイメージした窓ガラスは青を基調としてとても美しい。豪華な内装と細部にまで工夫が凝らされ天才ガウディの建築家としての才能に改めて驚きを感じます。

玄関ホールでは龍の背骨を連想させる、ガウディが手掛けた階段は、緩やかに曲線が描かれています。手すりは丸みを帯び手に馴染みやすい設計。エレベーターもありますが階段を上りたくなります。天窓のデザインは亀の甲羅がモチーフになっています。

【世界遺産】カサ・バトリョ | アントニ・ガウディの作品群2階はバトリョ氏の邸宅で、家具もガウディがデザイン。イスやテーブルが展示されているスペースもあり、特に椅子は座り心地まで精密に計算されたもの。肘掛の手の置き場までこだわった造りです。

部屋も随所に工夫がなされ、自然光が届かない場所にも鏡やガラス窓を設置し反射した光が入るよう考慮されています。またパティオや大きなサロンなど魅力的な空間が広がりとてもゴージャスです。

中央サロンは部屋の大きさが調節でき、ガラスがふんだんに使われ開放的。また天井を見上げると渦を巻いた天井に照明が設置され、そのユニークな形には一層魅力を感じます。

屋根裏は広い空間に感じられる懸垂状のアーチがあり、石膏で覆ったレンガを使用しています。全く古さを感じない白い壁と花柄の床は可愛らしさが強調され、連続するアーチも見もの。ここは家事室や使用人の部屋で朝からパタパタと働いていた様子を感じられる斬新さと実用性を感じる空間となっています。

【世界遺産】カサ・バトリョ | アントニ・ガウディの作品群

photo credit: Casa Batlló via photopin (license)

ガウディが全てデザインした階段や扉は必見。木の手すりや扉の花柄のドアノブはガウディが自ら手を石膏で固め研究を重ねて造られ、手に馴染むように作られています。木をふんだんに使った内装なども素敵な空間演出となっています。

【世界遺産】カサ・バトリョ | アントニ・ガウディの作品群

photo credit: Casa Batlló via photopin (license)

セジ・デ・グラシア通りが見渡せる雰囲気のいいカフェがあるので、見学の最後はお茶を楽しむこともできます。

ガウディが増改築を手掛けた斬新かつ繊細なリサイクル建造物は、建築美と機能美を融合したガウディのモデルニスモ建築におけるパワーと才能を感じられる邸宅です。

ギャラリー

「カサ・バトリョ」のデータ

   
国名 スペイン
世界遺産名アントニ・ガウディの作品群
名称カサ・バトリョ

 

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