「ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群」はトルコにある世界遺産。カッパドキアにはキノコや塔の形をした奇岩が立ち並び、幻想的な風景が広がっています。この地には迫害を逃れ移り住んだキリスト教徒の洞窟修道院や謎を秘めた地下都市などが残っています。
カッパドキアの岩窟群
カッパドキアにこのような独特な風景が誕生したのは、有史以前のことです。カッパドキアの東にあるエルジェス山と南西のハサン山で、300年前、大噴火が起きました。どちらも3000mを越える山です。その際、火山灰と溶岩が大量に堆積し、凝灰岩や玄武岩などの地層が形成されました。
ギョレメ国立公園
7~13世紀のギョレメ渓谷は、キリスト教徒の一大シェルターの観を呈していました。この時期、ビザンティン帝国による偶像破壊やイスラム教によるキリスト教徒迫害などを逃れ、渓谷に隠れ住むキリスト教徒たちが急増しました。
先住者が使った洞窟を掘り広げたり、新たな洞窟を掘ったりして聖堂や修道院を造り、信仰を守ったのです。いずれも聖堂の入り口は他の岩山と見分けにくく造られた。事実、ギョレメとは「見てはいけないもの」を意味しています。
しかし、そうした簡素な外観とは裏腹に、聖堂内部は華麗な色彩を使った聖像画で飾られていました。