バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群はアフガニスタンにある世界遺産で、ヒンドゥークシュ山脈の山中の標高2800mほどの高地に位置しています。古代遺跡群は1~13世紀に石窟仏教寺院が開削され、1000以上もの仏教美術の優れた石窟が発見されています。また、石窟内にはインド美術やペルシア美術の影響を受けた壁画が描かれました。
バーミヤンの大仏
バーミヤンでは仏教文化が繁栄し、5世紀から6世紀にかけて多くの巨大な仏像が彫られました。中でも、通称バーミヤン大仏と言われる男像(大仏如来)は高さ55m、女像(釈迦像)は高さ38mと大きなものでした。
足元にヘラクレスの像が彫られるなど、東西の文化が融合した、歴史的にも価値のある遺跡でした。
破壊された大仏
1979年のソ連によるアフガニスタン侵攻以来、アフガン紛争によって大きな被害を受けました。2001年にはイスラムの偶像崇拝禁止の規定に反しているとして、当時のアフガニスタンのタリバン政権はバーミヤンの大仏の破壊を宣言。
これに対し、国際機関や世界各国から抗議の声が上がりましたが、3月12日、2体の大仏が破壊されました。石窟の壁面に描かれた仏教画のおよそ8割が失われたと報告されています。
爆破される様子はビデオに撮影され、世界中に配信されました。大仏の破片は日本を含む、多くの国の専門家たちにより保存され、修復の方法が検討されています。ユネスコは2003年にバーミヤンを世界遺産に登録すると同時に危機遺産リストにも登録し、国際社会へ緊急支援を呼びかけています。