| 名称 | アウクスブルクの水管理システム |
|---|---|
| 国 |
ドイツ |
| 登録区分 | 世界文化遺産 |
| 登録年 |
2019年アゼルバイジャンの首都バクーで開催された第43回世界遺産委員会において、ドイツの「アウクスブルクの水管理システム」が世界文化遺産として登録されました。
アウクスブルクの水管理システム

「アウクスブルクの水管理システム」は、ドイツ南部の都市アウクスブルクにある、700年以上にわたって発展してきた水利用の技術と建造物群です。
この都市では、川の水を生活用水や水力エネルギーとして効率よく使うため、革新的な水利技術が次々と生み出されました。水資源の持続可能な活用や、都市の発展を支えた技術史が評価されています。
主な構成要素
「アウクスブルクの水管理システム」を特徴づける主な構成要素は以下の通りです。
- 水路網(運河)
湧き水(飲料用)と川の水(工業・生活用水)を混ざらないように完全に分ける仕組みが、16世紀の早い段階で作られていました。 - 給水塔群
15世紀から17世紀にかけて建てられた塔で、水車やタービンを使って高台にある旧市街へ水を汲み上げる動力を備えていました。 - 水冷式の精肉場(17世紀初頭)
川の水を引き込んで施設内を冷やし、肉の鮮度を保ちながら加工・販売を行う先進的な施設でした。 - 芸術的な3つの大噴水
都市の繁栄と水利技術の象徴として建てられた、高い芸術性を誇る噴水群です。 - 水力発電施設
産業革命期以降の近代的な水利技術を示す施設で、現在も再生可能エネルギーとして電力を供給し続けています。
「水の街」アウクスブルク
アウクスブルクは「水の街」として長い歴史を持ち、1545年にはすでに飲用水と生活・工業用水を衛生的に分離するシステムを確立していました。これは、水質汚染が病気の原因だと科学的に解明されるよりずっと前のことであり、当時の衛生観念としては世界有数の先進性を誇っていました。ルネサンス期から産業革命期に至るまで、ヨーロッパにおける水利技術のパイオニアとして各地のエンジニアに大きな影響を与え続けた場所でもあります。
こうした「水と都市の関係」という視点では、イタリアのヴェネツィアとその潟とも比較できます。ヴェネツィアが海や潟という自然環境そのものを都市形成に利用したのに対し、アウクスブルクでは河川や地下水を運河や水路、水塔などの人工的な仕組みに組み込むことで都市を発展させました。また、同じドイツの世界遺産であるベルクパルク・ヴィルヘルムスヘーエでは、水を利用した噴水や水圧による巨大な水の演出が見どころとなっています。アウクスブルクの噴水も含めて見ると、ヨーロッパの都市が時代ごとに水を「生活」「産業」「芸術」「エネルギー」へと活用してきた歴史が見えてきます。
アウクスブルクの街を歩くと、中世の給水塔から現代の水力発電所までが同じ水路でつながっており、歴史と先進技術が現在進行形で融合した風景を楽しむことができます。