アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群
アルプス山脈といえば、ヨーロッパを代表する山脈として知られています。
時代は紀元前のことです。アルプス山脈の辺りでは、現在の推定で、紀元前5000年から500年ごろまでという長期間に亘って、数多くの「杭上住居」が造られていました。現在まで残されている、こうした抗上住居の数々は「アルプス山脈周辺の先史時代の杭上住居群」として、2011年にまとめて世界遺産に登録されました。
この建物は、スイス、イタリア、ドイツ、フランス、オーストリア、スロベニアと、多数の国にまたがって点在しているため、各国々による「共同登録」というかたちになっています。
杭上住居は高床式の住居の一種で湖や湿地の上に杭を立て、その上に住居が築かれていました。それらは氾濫などを避ける工夫でしたが、長い間水没したまま忘れ去られていました。
その存在が再び知られるようになったのは1853年から1854年にかけての冬季大旱魃がきっかけで、遺跡の67%は一部ないし部分的に今も水没しています。屋内は寝室と居間を兼ねた部屋と台所に分かれ、それぞれ炉や暖炉を備えていました。
この杭上住居群は、紀元前のアルプス山脈周辺における生活がどのようなものであったかを知る上で、非常に重要かつ貴重な遺跡となっています。