アルジェのカスバ

アルジェのカスバ

アルジェリアの世界遺産、アルジェのカスバは同国の首都アルジェの旧市街を構成する一画の呼称です。カスバとは元々アラビア語で要塞を意味し、19世紀のフランス植民地の時代にこのような呼び名になりました。

映画『望郷』の舞台として知られるカスバは、 街の北にある標高約120mの丘の斜面 に広がります。石畳の細い坂道と階段が、迷路のように入り組み、密集する家屋のテラスがその上に張り出して、暗く謎めいた風情を漂わせています。この街を築いたのは、地中海を荒らしまわる海賊でした。

天然の良港に恵まれたベルベル人の地、 アルジエは、古代から頻繁に異民族の支 配を受け、16世紀初頭にはスペインに侵 略されました。イスラム勢力からイベリア半 島を奪回するレコンキスタ(国土回復運動)を完了し、急速に国力を強めていたスペインは、アルジェ港を地中海支配の拠点とすべく、沖合の小島に要塞を築いたのです。

しかし、アルジェはほどなくこの要塞を奪回。戦いを指揮したのは、トルコの海賊の首領で、アルジェ総督でもあったハイール・エディンヌでした。燃えるよう な赤褐色の髪と髭をもつため「赤ひげ」と 呼ばれ、豪胆なうえに政治的な才覚も備 えた彼は、アルジェの支配者だった兄から領土を受け継ぐと、それをオスマ ン帝国に献上し、見返りに総督の地位を得たのです。

彼の配下には、レコンキ スタで土地を追われて海賊になった者や、 スペインに根深い敵意をもつイスラム教徒が多かったのです。「赤ひげ」は、彼らを巧みに導いて見事スペインに勝利しました。

以後、「赤ひげ」はオスマン帝国の権力を背景にアルジェ沿岸一帯を支配し、キリスト教国の商船から略奪した財宝や人質の身代金でカスパの礎を築きます。迷路 のような坂道や急勾配の階段は、外敵の侵入を防ぐためのもので、イスラムの都市造りの原理に基づいています。

カスバは階段の町で、首都アルジェに位置しながらも年々の人口流出・スラム化が進み、貧しい人々が暮らす地域となり荒廃しつつあります。1962年にアルジェリア独立戦争を勝ち抜き、フランスから開放されたアルジェリアの歴史もカスパには残されています。

ギャラリー

この世界遺産のデータ・地図(場所)

名称アルジェのカスバ
アルジェリア
登録区分 世界文化遺産
登録年

1992年

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